※本章はドルトムントと関係ありません。
春節の休み、親戚がほとんどいない私は家でテレビを見て過ごした。すでに武漢封城のニュースは大いに話題になっていて、私の住む街も外には人が全然いない。それなのに爆竹だけは盛んに鳴っていて、ゾンビゲームの世界みたいだった。
そんな中、給湯器が壊れた。大家に電話したが、春節休みで修理工が来てくれない。給湯器が動かないと、シャワーも冷水しか出ない。ゾンビゲームの世界もお湯は出ないのだろうか。2日は我慢したが、3日目にはヤカンでお湯を沸かして頭を洗った。しかし、寒くて結局風邪をひいてしまった。ゾンビゲームの世界はかなりハードだ。風邪は思ったより重傷で、3日間まるまる寝込んだ。4日目、ようやく起き上がれるようになるころには、春節休みは終わっていた。
ところが、外には相変わらず誰もいない。爆竹どころか、車の音もしない。スマホを見ると、団地の管理人から、団地の入出規制のお知らせが届いていた。不要不急の外出禁止、買い出しは各家庭代表1名のみが可能、肺炎が発覚した場合、その棟の全員が検査を受けること、等。やばい、まだ風邪が治っておらず、頻繁に咳が出る。この状態で買い出しに行ったら、即拘束されてしまう。
台所を漁ってみたが、豆乳と豆しか残っていない。フードデリバリーを頼もうとしたが、全部受付中止。どうやら、街の飲食店は全部閉まっているらしい。ネットショップでカップ麺を注文しようとしたが、これも全部停止中。これはやばいと思いつつも、病み上がりで何かする気力もなく、豆を食べて寝た。
翌日、経理にチャットしてみたが、彼も同じような状況だった。2日に1回、団地の隣にあるスーパーに食料の買い出しに行っているらしい。近くにスーパーがない団地は、食料の配給があるらしい。届くかどうかわからないが、まだ注文できるネットショップの食品を教えてもらった。運が良ければ、数日内に届くかもしれない。注文を入れて、豆を食べて寝た。三只松鼠になった気分だ。
翌日、豆の残量が予想よりかなり少ないことに気づいた。最後の一袋が、殻付きクルミで袋の大きさの割に食べられるところが少なかったのだ。今日食べたら、明日の分は無いだろう。ネットショップで注文したインスタントお粥の配送状況を確認したが、まだ出荷中状態で福建省から移動していない。明日になったら、もう少し体調がよくなっていることを願って、豆を食べて寝た。
とうとう、家の食べ物が底をついた。体調は最悪だが、行くしかない。1週間シャワーしていないので、おそらく酷い臭いだろうが、スーパーに行くだけならメンツを傷つけられるような事も無いだろう。5階から階段を下りて、団地の門に向かう。いつもは開けっ放しの門が、バリケードが設置されて防疫マスクをした人が見張りをしている。呼び止められたらどうしようと思いながら、足早に通り過ぎ、200mほど先にあるスーパーに向かう。スーパーは営業しているが、ほとんど人がいないみたいだ、と思った瞬間、足がグキっとなって思い切り歩道に身体を叩きつけられた。恥ずかしいのと痛いので、頭に血が上る。起き上がらなくては、と思ったが、身体に力が入らない。手も足も動かない。周りに人が集まってくる気配を感じながら、だんだん視界が暗くなっていった。
気づいたら、病院のベッドだった。救急車で運ばれたらしい。看護師がやってきて、点滴を外すと、さっさと帰れと言われる。肺炎じゃない患者に用はないらしい。スーパーでクラッカーを買って食べたら、ようやく生き返った気がした。とりあえず、10日分くらいのカップ麺とクラッカーを買った。一応タクシーは動いてるらしく、滴滴で呼んだら来てくれた。
給湯器の修理はまだ来ない。
夜に羽田に来たことは何回もあるが、4時台はさすがに初めての経験だった。この後飛ぶ便は、HKエクスプレスと、自分が乗るタイガーエアしかない。北のセキュリティゲートは閉まっていて、中央も1列しか動いていなかった。中に入っても、免税店は中央の1個しか開いていない。そんな中、六厘舎は元気よく営業中。小腹が減っていたので、食べるかどうか迷ったが、ここでおなかいっぱいにしてしまっては、眠くなってしまうことうけあい。そう、飛行機の中はCPAPが使えないので、私は寝ることができないのだ。先の売店で菓子パンでも買おう、と思ったら、売店も閉まっていた。
146番ゲートの前に、ポケモンスタンドができていて、ジムができていた。せっかくなので、ちょっと殴っていくか、と思ったら、同じこと考えている人がいっぱいいるらしく、10分もしないで配置したサーナイトが帰ってきた。
それにしても、周り、同じ飛行機で台湾に行く人たちだとおもうが、やたら若い女性が多い。女子大生と思われる。3、4人のグループも多いが、ソロと思われる女の子もけっこういる。搭乗時間になって、列に並ぶと、実に6割以上、女の子。さすがにこれ、全部ポケモントレーナーではないよな?まさかタピオカじゃないよね?後に分かったことだが、同じ10月5日にHey!Say!JUMP LIVE 2019 in Taipei@台北アリーナがあったらしい。最近の女子大生は金持ちだな!
ジムしたり、女子大生を見たりしているうちに搭乗時間になり、飛行機に乗り込んでから、水を買うのを忘れたことに気づく。しまった、LCCは飲み物が有料だ。でも、窓際のF席になってしまったし、隣には若い女性が座ってしまったので、トイレ行くのも大変なので我慢する。
4時間弱のフライトは慣れている私だが、枕がもらえないのは何気に厳しい。いつもなら、お尻の下に枕を敷いてクッション代わりにするのだが、タイガーエアでは枕も毛布も配る気配がない。前スクートに乗った時は、毛布を売ってたと思うのだが、機内は真っ暗でアテンダントを呼ぶような雰囲気ではない。シートが合成皮革なので、ジーンズのふとももの裏が汗で湿ってくる。腰を浮かせればいいのだが、となりの女の子に不審者とみられるのが嫌なので、最小限の幅だけ腰を浮かせて空気椅子状態で汗を乾かす。無駄に体力を使っていたら、だんだん尿意がたまってきてしまった。フライトは残り1時間。気を紛らわすためにKindleに入ってるヒナまつりを最初から読み直す。やばい、おもしろい。高校生になってから、ヒナはセリフが多すぎだと思う。瞳ちゃんもスーパーサイヤ人みたいになってるし。
と、気づいたら、もう飛行機が着陸態勢に入っていた。そして、気づいたら、膀胱がパンパンだ。
飛行機を降りるなり、トイレに直行。小便器で解放~すると、白い便器が真っ赤に染まった。何時もは黄金色の液体がでるところから、トマトジュースがでている!一瞬で、尿結石という単語が頭に浮かぶ。でも、もうここまできたらやるしかない!待ってろヘラクロス!